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- 投稿者:きんに君
(註:この記事の本当の投稿日は1月20日です)
「万作・狂言十八選 その一」
2007年1月7日(日) 15:00開演
国立能楽堂 GB席1-5番
素囃子『養老水波之伝』
笛・・・藤田次郎、小鼓・・・鵜澤洋太郎、大鼓・・・亀井広忠、太鼓・・・小寺真佐人
狂言『二人袴三段之舞』
親・・・野村万作(野村万之介代演)
舅・・・石田幸雄
太郎冠者・・・高野和憲
聟・・・竹山悠樹
狂言『靱猿』
大名・・・野村万作
猿曳・・・野村萬斎
太郎冠者・・・深田博治
猿・・・野村裕基
『養老』
全体的に急テンポの囃子。目が覚めるよう。グイと引き込まれる。
『二人袴』
舅と太郎冠者が出てきたところで、デジャヴを感じました。と言うのも、この組み合わせは去年十月の「万作を観る会」の時の二人袴と同じだったのです。
今回の二人袴は、その時(親・萬斎師、聟・遼太くん)に比べると面白くありませんでした。というのも、万作師の親が、師に合っていないような気がしたからです。万作師の親は、息子に対して何か他人行儀に付き合っているような。これは万之介師の親で観てみたかったです。
『靱猿』
初見の曲でしたが、猿がかわいいの何の!
お猿さんは序盤はずっと下のほうで遊んでいます。上のほうでは人間たちが、自分の生死に関わることを話し合っているのに。そのけなげさに、悲しさがジワリとにじんで来ます。
お猿さんは、自分が置かれていた状況に最後まで気付きません。でもその純真さが猿曳きの決意を鈍らせ、大名に哀れみの心を起こさせ、仕舞いには猿に褒美まで取らせてしまうのです。
テレビのニュースで、ネタに詰まったのかよく動物の赤ん坊についての話題を目にします。こういうのはネタを真面目に探そうとしないテレビ局の落ち度だとは思います。でも、この狂言は観ているとホッとします。動物の純粋さを強調して、しかも媒体を通さずに生で観ているから、純粋さが直に心に届くのでしょう。