早稲田大学狂言研究会の日記

早稲田大学狂言研究会 公式ブログ

  • 投稿者:筋太郎さん

国立能楽堂狂言の会
2006年1月26日(木) 18:30開演
国立能楽堂

素囃子『早舞』
笛・・・竹市学、小鼓・・・森澤勇司、大鼓・・・原岡一之、太鼓・・・桜井均

狂言『三人夫』(和泉)
美濃の国の百姓・・・井上靖
淡路の国の百姓・・・佐藤融
尾張の国の百姓・・・鹿島俊裕
奏者・・・井上菊次郎
笛・・・竹市学、小鼓・・・森澤勇司、大鼓・・・原岡一之、太鼓・・・桜井均

井上菊次郎・靖浩親子を見るのはこれで二回目でしたが、素朴にのびのびと演じられていて、なかなか良いと思います。
佐藤・鹿島両氏は、発声がいま一つだったような気が・・・

狂言『蛸』(大蔵)
シテ(蛸の亡霊)・・・茂山七五三
ワキ(旅僧)・・・茂山千五郎
アイ(所の者)・・・茂山正邦
笛・・・竹市学、小鼓・・・森澤勇司、大鼓・・・原岡一之
地謡・・・茂山茂、茂山千之丞、茂山あきら、茂山童司

昨年十二月の野村狂言座で、こちらも舞狂言の『楽阿弥』を観ましたが、これは同じ舞狂言でもまったく趣の違うものでした。

まずワキが出てきて名乗り、道行と進んだかと思うと、いきなり幕から前シテが出てきます。そして、名乗るやいなや、橋掛かりで回れ右をして幕入り。あまりにも唐突過ぎる前場にびっくり。
アイによる立ちしゃべりの後、後シテ・蛸の亡霊が赤頭にうそふきの面で登場。蛸そっくり。
歩みもなんとなくぐにゃっとしている様に見える亡霊は、網にかかって捕らえられ、まな板の上で皮をはがされ、包丁を当てられ、墨を吹いて苦しむ様子が真面目に謡われます。

茂山家が演じたと言うのも要因としてあるかもしれませんが、情緒があって能らしい雰囲気があった『楽阿弥』にくらべると、まるで正反対の性格を持った舞狂言でした。衝撃です。

狂言『河原太郎』(大蔵)
太郎・・・山本則俊
妻・・・山本東次郎
客・・・山本泰太郎、山本則孝、山本則重、山本則秀、遠藤博義、若松隆

東次郎氏の女を見るのは初めてでしたが、見れば見るほどに女になっているのを感じました。
声の出し方や足の運びに変化が出てくるのは当然なのですが、そればかりでなく、酒屋の出店の支度をする、ややもすればダレかねない所でも、手付きのそこかしこに女らしさが感じられ、見ていて飽きませんでした。