早稲田大学狂言研究会の日記

早稲田大学狂言研究会 公式ブログ

−投稿者:筋太郎さん

これが書き込み第一号でしょうか?
以後よろしくお願いします。

鑑賞記第一号
「雪薺(ゆきなずな)の会」
2005年5月15日13:30より 杉並能楽堂にて

『磁石』
シテ(すっぱ) 遠藤博義
アド(見附の者) 山本則重
アド(宿主) 山本則秀
 
『地蔵舞』
シテ(出家) 若松隆
アド(宿主) 山本泰太郎

連歌盗人』
シテ(有徳人) 山本東次郎
アド(盗人甲) 遠藤博義
アド(盗人乙) 若松隆

 山本家の狂言は、語尾が上がり気味になる独特の節回しが特徴です。
その芸風はあくまで上品であり、美しさに満ちています。

 今回の三つの演目を見て思ったのは、「能舞台を装置として有効に活用している」ということです。
「磁石」においては、橋掛りを宿の二階に、本舞台を表に見立てて、代金の受け渡しを演出しています。
また「地蔵舞」でも、シテが立て札を読むところでシテ柱を見ることで、実際に立て札を読んでいるような効果を出しています。
 この傾向を見れば、『連歌盗人』を最後に持ってきたのは大正解だと言えるでしょう。
二人の男が有徳人の家の庭に踏み込み、続いて床の間へと忍び入ります。
そのとき、能舞台の上を指差して「あれが欄間だ」と言ったり、地謡座を指して「あれが床の間だ」などと言ったりするのです。
これは『鬼瓦』にも見られる演出ですが、これによってそれまで庭だった能舞台は、見事なまでに床の間へと変身するのです。
連歌盗人』では、見立ての技巧が能舞台そのものが持つ抽象性と合わさって、最高の効果を発揮していると言えるのではないでしょうか。

その他感じた点を挙げれば・・・
・『磁石』で磁石の精(のフリをした見附の男)の断末魔のきりきり舞が見事で、本当に死んだのではと思うほどだった。
・追い込みで留めない曲(特に『地蔵舞』)は、すっきり終わったように感じさせるのは難しい。

といったところでしょうか。

とりあえず鑑賞記第一号です。他の皆さんもどんどん書き込んで、返信とかもどんどんして下さい。
早稲田以外も、六狂連の皆さん、その他狂言会の皆さん、外部の方も意見お待ちしています。